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170号 過去のセンターニュース | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

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事業紹介

「おおいた食品オープンラボ」がオープンしました --- 1

企業の新商品開発を支援!平成 25 年度グッドデザイン 商品創出支援事業の報告 --- 3

ICP-MS/MS 導入のお知らせと研修会のご案内 --- 4

システム開発ソフトウェア LabVIEW による

生産性向上研修 --- 6

モータ設計のための電磁界解析研修 --- 6

技術研修「熱分析・入門編」を開催しました --- 7

お知らせ

ものづくりプラザ入居企業の紹介 --- 7

成果紹介

空撮用マルチコプターの共同開発 --- 8

「おおいた食品オープンラボ」がオープンしました

8 月 22 日、おおいた食品オープンラボ(以下「オープ

ンラボ」)の開設記念式典が、関係者約 80 名の出席のも

と、盛大に開催されました。おおいた食品産業企業会(以

下「企業会」)の和田久継会長の挨拶のあと、広瀬勝貞大

分県知事の来賓祝辞に続いて、東京農業大学名誉教授の

小泉武夫氏が「売れる食品開発のための六原則」と題し

て基調講演を行いました。その後、3 班編制でオープン

ラボの内覧会を行いました。

食品産業は、県内製造業の事業所数の 1/4 を占め、地

域経済への波及効果が大きい産業です。このため、食品

産業の成長促進を目的として、平成 26 年 2 月に企業会が

設立されました。企業会では、企業間及び企業と大学、

支援機関との連携を強化し、企業による主体的な課題解

決や成長に向けた取組を支援していきます。

特に、商品開発や人材育成などの取組は会員企業共通

の課題であり、こうした取組を支援するための施設とし

て、オープンラボを開設しました。

オープンラボは、県内企業が自由に活用して技術力ア

ップを図ることができる開放実験施設です。センター内

に開設していることで、センター保有機器の活用も可能

なうえ、センター研究員の技術支援も受けられるなどの

メリットがあります。

市場の求める商品をタイムリーに開発するための試作

加工、商品の品質評価、さらには従業員の技術研修の場

として積極的に活用してもらいたいと考えています。

オープンラボに新たに導入した機器は以下のとおりで

す。

●スチームコンベクション:ホシザキ電機/MIC-5TB3

スチーム(蒸気)とコンベクションオーブン(熱風)

の量を設定して調理を行う多機能加熱調理器で、効率的

にたくさんの料理を均一に仕上げられるため、ホテルや

レストラン、学校給食や病院の食事など、大量調理が必

要な施設で活用されています。「焼く」、「煮る」、「炊く」、

「炒める」、「揚げる」、「茹でる」、「蒸す」、「温める」な

ど、加熱調理の約 8 割をこなすことができます。

導入機器には、3 つの調理モードを備えています。ス

チームモードは、「蒸す」、「茹でる」などの調理に適した

モード。栄養素が流失しにくく、食材の持つ風味を保つ

ことができます。また、温度調節が難しい茶碗蒸しや真

空低温調理などでも失敗が少なく調理できます。ホット

エアーモードは、焼く調理、中でもお菓子作りに適して

います。庫内に熱風を均等に行き渡らせるので、お菓子

作りの大敵である焼きムラも出にくく、失敗が少ないの

もポイントです。コンビモードは、「煮る」、「焼く」、「炊

く」、「揚げる」、「炒める」などの調理に適したモード。

熱風と蒸気を使うので、食材への熱伝導が早いのが特長

です。調理時間も短く、煮崩れや焼き縮みなども防げま

す。

●急速冷凍装置:サンテツ技研/ブライン急速凍結機 RBF-120

エタノールを使用して-30℃まで冷却することにより、

短時間で食品の凍結を行えます。従来の冷凍装置では、

凍結ムラができ、時間がかかるため、氷の結晶が大きく

なり細胞を破壊してしまいます。このため食品から旨み

事 業 紹 介

技 術 情 報 お お い た

N o . 1 7 0

2 0 1 4 . 9

(2)

成分であるドリップが大量に流出してしまい、味・食感・

歩留まりが悪くなり品質が低下していました。導入機器

では、食品に液体がまんべんなく均等にあたるため、凍

結ムラがおきず、高い熱伝達率により急速に凍結、氷の

結晶が小さくなり細胞を破壊しない凍結ができます。ド

リップが流出しないため、生と変わらないみずみずしさ

を維持できます。解凍しても凍結前に近い状態へ戻りま す。

●フードプロセッサー:エフ・エム・アイ/ロボクープ R2A

原材料を細断、粉砕、すりおろし等様々な形態に処理、

加工します。撹拌力が強いので、均一でムラがないキメ

細やかな仕上がりとなります。素早い処理が可能なため、

鮮度や栄養価を落としません。

●真空濃縮釜:エヌワイビー/QB8-3

混ぜる・砕く・乳化するといった従来のカッターミキ

サーの機能に、「加熱」、「冷却」、「加圧」、「減圧」といっ

た機能を加えることで、1 台であらゆる製品の加工が可

能になります。

加熱と減圧を組み合わせることで、変色を抑えた濃縮

が可能になり、高品質なジャムやフルーツソースを製造

することができます。他にも、加熱と加圧により、スー

プの調理時間を短縮したり、冷却と粉砕により、温度上

昇を抑えながらペーストを製造するなど、様々に応用が

できます。

●充填機:ナオミ/パズル充填機 RD-703

素早く正確に設定した量を充填することができます。

ヘッド部分を交換することで、ジュースやソース、ドレ

ッシングといった液体や、カスタードクリームやジャム、

味噌といった粘度の高いものも充填できます。耐熱用チ

ューブは 100℃まで大丈夫なので、ホットパックも可能

です。また、魔法のノズル「シャット弁」により、液だ

れを 98%防止できます。

●キャップ打栓機:阪口製作所/手押式打栓機

飲料用ビンに内容物を充填した後、ビンのキャップを

完全密封します。

●殺菌ボックス:米田工機/BM-16

ビン、パック等の容器に充填、密封した食品を、所定

温度の温湯で加熱殺菌します。

●温度ロガー:シロ産業/MI1D-140

ビン、パックに加工品とともに封入し、殺菌過程の加

工品の温度を測定します。

本体の耐熱温度が 140℃と高く、高温高圧滅菌器(オ

●粘度計:京都電子工業/EMS1000

食品の粘度を測定します。電磁スピニング法(EMS 法)

という新しい方式を採用したことで、低粘度から高粘度

のものまで測定することが可能です。測定時間も短く、

試料も少量で測定できます。

●pH メーター:堀場製作所/F-71S

食品の pH を測定します。

●糖度計:アタゴ/PR201α、PR301α

食品の糖度(Brix)を測定します。

Brix は屈折率を「蔗糖液 100g中に含まれる蔗糖のグ

ラム数」に換算して目盛ったものです。サンプル中の可

溶性固形分のほとんどが糖である飲料においては、Brix

を糖度(糖分濃度)と呼称することが多いです。調味液

などの食品には、糖以外の固形分も含まれていますので、

Brix はサンプル中の可溶性固形分濃度の目安値として

用いられています。

●酸度計:アタゴ/PAL ACID1

食品に含まれる総酸の濃度を測定します。総酸を検出

し、クエン酸に換算した測定値を表示します。

オープンラボの使用は平日 8:30~17:15 となっており、

事前に予約が必要です。詳しくは、センターへお問い合

(3)

企業の新商品開発を支援!

平成 25 年度グッドデザイン商品創出支援事業の報告

商品開発に取り組む県内企業に対して、「商品企画」、 「商品化」の各プロセスにおける効果的な開発手法を学 んでもらい、企業のデザイン開発力を高めていくことを 目的としています。企業担当者、センター職員、外部ア ドバイザーが連携して共同開発を行う開発プロジェクト を立ち上げて、市場競争力のある商品を創出し、経営資 源としての「デザイン」の認識を深めていく内容です。

平成25年度は8社の開発を支援し、「テーマ」、「企業名」 と、具体的な開発の「内容」をご紹介します。

1.商品企画ステップアップ事業 : 5社

ユーザーの心を捉える商品企画づくり段階の支援です。 ●ホテル集客のための新企画プラン開発

申請企業:株式会社 山一観光(日田市)

内容:敷地内の3つの源泉から異なる3種類の極上泉 質の温泉が湧出していることが判明したため、温泉を 活かした新企画のコンセプトとして「1泊で三つの異 なる泉質の極上温泉を五感で味わえる温泉感動型宿 泊プラン」と設定し複数の商品企画を検討しました。 ●機械電気技術を使った商品企画

申請企業:シェルエレクトロニクス株式会社(大分市) 内容:半導体産業向けの技術ノウハウを利用して、半 導体産業分野以外の製品を開発することと、自社の強 みを活かした独自商品を開発できる企業となること を目標に取り組みました。新規企画案のアイデアが生 まれ、最終的に「アマチュアゴルファーがゴルフをよ り楽しめて、より上達できるようなツールの開発」の コンセプトのもとに、商品企画としてまとめることが できました。

●ミニカーの製造に関してのニーズの追求と開発 申請企業:有限会社 BGO(国東市)

内容:ユーザーニーズを満足するシンプルでローコス トなミニカーの開発を目標にミニカーの製造に関し てのニーズの追求と開発等について検討し、複数の開 発テーマ案が得られました。

●スギ集成材を利用した新製品開発

申請企業:有限会社 カネサダ横尾木工所(日田市) 内容:複数のテーマ案のなかから有望な商品企画のコ ンセプトとして「杉の香りのする快適環境で音を気に せず、自分の時間を楽しめるママ専用のオアシス空間」 とし、キャッチコピーを「木の香りのする自分空間 MaMa‘s・アトリエ!」とする企画案を立案しました。 ●自社生産農作物による加工食品の開発

申請企業:株式会社 農業法人 元越(佐伯市) 内容:自社の強みを活かした独自商品を開発できる 企業となることを目標に、自社生産の農作物を加工し た新商品開発の企画について検討しました。

2.商品化サポート事業: 3社

商品アイデアをカタチにする商品設計・製造加工段 階のものづくり支援です。

●縁起の良い土地で、地元の稲ワラを使った農産加工品 の開発

申請企業:有限会社 安部組(国東市)

内容:吉祥の結び方などを基に、パワーしめ縄のデザ インを検討し、富来在住のしめ縄職人に試作をしても らいました。正月用のしめ縄では季節に販売量が左右 されるため、通年販売できる厄除け・お守りの範疇に 入るパワーしめ縄を開発できました。(写真左上) ●大分県産鱧の新製品の開発

申請企業:有限会社 上野水産(宇佐市)

内容:活用されていない大分県産鱧を常温販売できる 加工食品として商品化・事業化することを目的に多数 の企画案から選定し試作検討を行い、下記の商品化を 決定し、随時市場に導入していきます。

□商品化8点:鱧の骨せんべい、鱧の蒲焼き(写真右 下)、鱧のひつまぶし、鱧の卵の塩辛、鱧の吟醸(酒粕) 焼き、勝ち海老おこわ、はもおこわ、はもしんじょう (写真左下)

●大分の郷土料理をモチーフとしたお菓子の開発 申請企業:南光物産株式会社(別府市)

内容:大分の郷土料理をモチーフとした健康志向の お菓子の開発・商品化・事業化を目的として開発しま した。

□商品化3点:ざぼんぴーる(ザボン漬、リパッケー ジ)かぼすぴーる(カボス漬、リパッケージ)(写真 右上)ゆず一番(リパッケージ)

(開発した試作品や商品の一例)

このようにグッドデザイン商品創出支援事業を活用す ることで、企業単独では困難な商品企画や商品設計・製 造加工等の展開ができ、企業の商品開発力の向上を図る ことができます。

具体的な商品開発を検討している県内企業の方々は、 是非、来年度のこの事業をご活用下さい。

(製品開発支援担当 兵頭敬一郎 [email protected]

(4)

ICP-MS/MS 導入のお知らせと研修会のご案内

1.ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)について

センターでは、原子吸光、ICP-AES(誘導結合プラズマ

発光分析装置)を設置して微量分析をしてきましたが、

このたび、(一財)九州産業技術センターが実施する H25

年度補正予算地域オープンイノベーション促進事業によ

って、ICP-MS を導入します(11 月上旬頃に設置予定です)。

それぞれの分析装置のおおむねの測定対象濃度は下図

のとおりです(元素により異なります)。ICP-MS が低濃

度でも分析できる高感度分析法であることがわかります。

今回設置する ICP-MS は四重極検出器をコリジョン・リ

アクションセルの前後にそれぞれ搭載した「トリプル四

重極型誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS/MS)」で

次世代型 ICP-MS です。

測定モードは、コリジョン・リアクションセルの前段

の四重極の機能により、オンマスモード、マスシフトモ

ード、シングルマスモードの 3 モードから、試料にあわ

せて選択します。

このうち①と②によって、測定を妨害する干渉を低く

抑えることができ、高塩濃度中の微量元素分析に威力を

発揮します。

2.マイクロ波分解前処理装置について

ICP-MS/MS の導入と同時に固体試料の溶液化(分解)

のための「マイクロ波分解前処理装置」も導入します。

このマイクロ波分解は、測定試料の溶液化において近

年、多用されている手法で、密閉容器の中に試料と酸を

入れ、電子レンジと同じマイクロ波を照射することによ

り、高温高圧状態で試料を分解することによって、試料

の揮散やコンタミを抑え、かつ前処理時間の短縮ができ

ます。

3.普及のための専門家の配置

ICP-MS/MS の利用を広く呼びかけるため、専門家を配

置し、県内外企業様のご要望などを伺います。

ご訪問などの際には、お時間いただければありがたい

です。

100%

1%

1000ppm

1ppm

1ppb

1ppt

容量法・重量

原子吸光

ICP-AES

フレームレス原子吸光

ICP-MS/MS

1g/L

1mg/L

1μg/L

1ng/L

★分析手法ごとの測定濃度範囲

低濃度

ICP-MS とは、、、、

○ICP-MS は多元素を一度に、超高感度で分析できる装 置で、例えば 1L 中に 10 億分の 1g 溶けている極低 濃度(1ng/L)でも分析できる。

○例えば分析したいサンプルが 0.1g しかなく、その 中のある金属元素が 0.5ppm 以下であることを確認 したいときに、0.1g を酸分解して 20mL にすると、 2.5μg/L を測定できなくてはいけない。この濃度は ICP-MS で測定する領域となる。

○低濃度専用ではなくて、1L 中に 10 分の 1g 溶けてい る高濃度(100mg/L)も分析でき、極低濃度から高 濃度まで一度に測定できることも ICP-MS の特徴。

ICP-MS/MS の測定モード

①反応性の高い干渉を除去し、反応性の低い分析 対象物を元の質量で測定するオンマスモード

②反応性の高い分析対象物を、オリジナルの干渉 を受けない別の質量に移して測定するマスシフ トモード

③従来の ICP-MS と同じシングルマスモード

(5)

4.九州地方公設試験研究機関の導入機器について

今回の補正予算で、同時に九州各県の公設試に設置す

る機器は下表のとおりです。

このうち、東九州メディカルバレー構想で大分県と連

携関係にある宮崎県が導入する機器について、概要を右

に紹介します。

5.研修会を開催します

機器の導入に合わせて 11 月中旬から 12 月にかけて

①「ICP-MS/MS 研修会」、②「マイクロ波分解前処理研修

会」、③「固相抽出による試料前処理研修会」

の各セミナーを順次開催します。

ICP-MS/MS や超微量元素分析にご関心・ご興味のある

方や、研修会のご案内をご希望の方は下記までメール・

電話などでお問い合わせください。ご連絡をお待ちして

います。

(工業化学担当 谷口秀樹 [email protected]

宮崎県工業技術センターが導入する機器は、脳活動

に伴う大脳皮質の血中ヘモグロビン濃度変化と、筋肉

の活動に伴う筋電信号を可視化・定量化することがで

き、福祉・リハビリテーション機器の開発や介護食・

高齢者食の開発の際の人間工学的評価ツールとして使

用できます。

宮崎県工業技術センター導入機器の概要

脳機能マッピング装置 筋電位計測装置

マイクロ波分解前処理装置

超純水製造装置

<試料・標準液の調整> <試料の前処理>

・懸濁試料や固体試料を高温・

高圧で酸分解して溶液化

多検体を同時に短時間で溶

液化

<超微量濃度分析>

・定性分析

・・含まれる元素の種類を分析

・定量分析

・・それぞれの元素の濃度を分析

・試料の希釈時や酸分解

時に超純水を添加

標準元素溶液を目的濃

度に超純水を使用して希 釈

トリプル四重極型

誘導結合プラズマ質量分析装置

(6)

システム開発ソフトウェア LabVIEW による生産性向上研修

技術開発の生産性を向上させる LabVIEW ソフトウェア

体験セミナーを 5 月 16 日に開催しました。

LabVIEW は、エンジニアや研究者に広く支持されてい

るシステム開発ソフトウェアです。カスタム仕様の計測

設備の開発・購入はコストがかかる上、再利用や拡張が

困難であるという問題があります。LabVIEW は安価に入

手できる PC と、信号入出力デバイス、あるいは既存の計

測器を統合することで、計測制御装置を作ることを可能

にするソフトウェアです。難解なプログラミングを学習

することなく並列処理コードを生成する機能や、多数の

解析用関数が搭載されています。そのため、開発製品の

品質を高め、製品の市場投入までの時間を短縮すると同

時に、エンジニアリングと製造現場の大幅な効率化に貢

献します。

今回の研修では、講師に日本ナショナルインスツルメ

ンツ株式会社櫻井淳彦氏をお迎えして、実際に PC を操作

しての LabVIEW による開発体験を実施しました。まず

LabVIEW の紹介の後、参加 1 社につき 1 台の LabVIEW と

PCMCIA の DAQCard を用いて実際にプログラミングを行い

ました。初心者の方でも、容易にプログラミング可能で、

グラフィカルなユーザインターフェイスを作成可能であ

ることを体験していただきました。

LabVIEW セミナーの大分開催は初めてでしたが、研修

後の参加者アンケートでも、満足度の高い結果を得るこ

とができました。今後、体験セミナーの追加開催も可能

ですので、内容や日程のご希望があれば、担当までご連

絡ください。

(電磁力担当 下地広泰 [email protected]

モータ設計のための電磁界解析研修

モータや発電機、電磁リレー、磁気歯車など、磁石や

電磁鋼板といった磁性材料を利用する電気機器は、省力

化や低コスト化が実現できる高付加価値製品として注目

されていますが、その設計開発は敷居が高いと感じてい

る方が多いのではないでしょうか。これら電磁界を活用

する電気機器の開発には、専用シミュレータの活用が効

果的です。そこで今回、電磁界解析ソフトウェア

JMAG-Designer(以下、JMAG)を利用した開発設計のため

の入門研修を、7 月 2 日に開催しました。

今回の研修には、電磁界解析の知識を得たい、新製品

開発へ活用したいという県内の 6 社 6 名が参加されまし

た。講師には、JMAG の開発元である(株)JSOL の近藤隆史

様と伊賀山泰子様をお迎えしました。研修ではまず、JMAG

を有効に使うための基礎知識について講義が行われ、機

器の動作原理や磁気回路の基本、電磁界解析に必要な用

語や考え方などについて、図表を多用した資料によって

分かりやすく解説していただきました。講義に続き、受

講者 1 名に 1 台のパソコンを使って、JMAG での設計解析

の実習が行われました。実習では、永久磁石モータ(3

次元解析)を解析対象として、形状や材料のモデリング、

解析、結果表示まで一連の流れを体験しました。講義、

実習ともに有用で実践的な内容が豊富だったこと、また

少人数開催のため疑問点はすぐに講師に質問できたこと

などから、終了後のアンケートでは、すべての参加者か

ら満足度の高い研修だったとの感想をいただくことがで

きました。

電磁界解析ソフトウェア JMAG は、当センターで利用

可能です。製品開発への利用や試しに使ってみたいなど

のご要望の際は、お気軽にご連絡ください。

(電磁力担当 沓掛暁史 [email protected])

事業 紹介

(7)

技術研修「熱分析・入門編」を開催しました

熱分析とは、物質の温度を一定のプログラムで変えな

がら物質のある物理的性質を温度の関数として測定する

ものです。無機物、高分子、医薬品、食品、金属など幅

広い分野で利用されています。

7 月 31 日に株式会社島津製作所より太田充氏を講師と

してお招きし、熱分析の概要、DSC(示差走査熱量測定)、

TG/DTA(示差熱・熱重量同時測定)、TMA(熱機械分析)の各

種原理など基礎的な情報から、実際の測定例まで幅広く

ご講演頂きました。講演後、センターの熱分析装置で実

際に試料測定を行い、測定や解析の手法や注意点につい

て大型液晶ディスプレイに表示したソフトウェアを操作

しながら説明していただきました。

実演後に設けた個別相談会では、各参加者個別の実際

の測定・解析に関する疑問点やノウハウについて講師と

活発に情報交換が行われました。

個別相談会と並行して、希望者に工業化学担当所有機

器も見学していただきました。参加者の希望で X 線を用

いた分析機器を中心に紹介しました。

今回の研修には、17 社・団体より定員を上回る 31 名

の方にご参加いただきました。今後も、企業の方の役に

立つ研修を開催していきたいと考えています。ご活用い

ただければ幸いです。平成 26 年度の技術研修計画は、以

下 URL をご覧ください。

http://www.oita-ri.jp/info_data/oiri_seminar_fy26.pdf

センターの熱分析装置は、平成 16 年度電源立地地域対

策交付金事業により導入したものです。

(工業化学担当 柳 明洋 [email protected]

ものづくりプラザ入居企業の紹介

センター施設内に設置されている「ものづくりプラザ」

は、ベンチャー企業や産業科学技術センターと共同研究

を行う企業等を支援するために設置されたインキュベー

ト施設です。

本年10月に、ものづくりプラザM102号室に入居され

る「象珍堂」をご紹介します。

象珍堂は、3次元コンピュータ・グラフィックス(3DCG)

という技術を業務の柱に、プロダクトをはじめ、公共建

築や店舗などの建築パースの制作を行っています。新事

業として、3Dプリンタの入出力に関する事業を展開して

いきます。

●業務内容

・建築パース、アニメーション、土木パースなどの制作

・3DCG技術を活用した建築、土木、フィギュア(ペット)

の3Dプリンタデータ作成、出力事業

・画像データを用いた3Dデータ作成事業

企業名:象珍堂(ぞうちんどう)

代表者:代表 川内義治

電 話:090-432-7520

(作品例・保育園の内観パース図)

(企画連携担当 濱名直美 [email protected]

事業 紹介

(8)

空撮用マルチコプターの共同開発

■ はじめに

ものづくりプラザ入居企業「K-STAGE」は、業 務用マルチコプターの開発・設計から製造・販売、トレ

ーニングやサポートまで、一貫したサービスを提供して

います。マルチコプターの販売事業者は増えていますが、

同社のマルチコプターは「小型・軽量・低価格・自律飛

行」に加え、「多様なニーズに応じた完全オーダーメイド」

が大きな特徴です。マルチコプターは様々な現場で利用

されており、搭載する機材・用途・環境などユーザーの 要求仕様も多様です。同社は顧客ニーズに応じて設計し、

既成品では難しい構成を可能にしています。

(製品の一例)

■ 共同開発の経過

当センターは、マルチコプター関連技術の共同開発に

取り組んでいます。第 1 の課題は「空中・長距離タイプ

の無線中継ユニットの開発」でした。空撮映像をリアル

タイムに中継すれば、機体の目視が難しい遠距離の場合

でもマルチコプターの操縦が容易になります。近接やワ

イドでの撮影や、回り込んでの撮影など、詳細な空撮画 像を得ることも可能になります。

リアルタイム中継には、広い帯域を持つ無線伝送装置

が必要です。無線関連の機材や操作は、電波法等で厳し

く規制されています。IEEE802.11g/n 方式の無線 LAN 機

器から、屋外・空中の利用が可能な機種を選定し、安価・

免許不要で利用できる設計としました。

マルチコプターを操縦する際は、制御信号と機体情報

を送受信するテレメトリー装置を搭載しなければなりま

せん。市販品は、高価・重い・大きい…などの難点があ

ります。第 2 の課題として、安価・軽量・小型のテレメ

トリーの開発に取り組みました。超小型・省電力の海外

製 2.4GHz ワンチップモジュールを入手し、国内での使用 が可能となるように技術基準適合証明を個別取得させま

した。チップ設定を最適化し、マルチコプター向けのテ

レメトリー装置として通信仕様を得ることができました。

飛行の長時間化や、搭載機材の重量化・大型化のニー

ズも増えています。第 3 の課題として「電力効率と浮上 力の関係を定量的に評価できる測定装置の開発」、および

「それら装置を用いた電力と浮上力の定量的評価と効率

性向上」の研究に取り組んでいます。センターは電磁力 関連技術に関する研究に取り組んでおり、専門的知見や

専用機材が多く蓄積されています。K-STAGEなら

ではの高揚力・長時間飛行が可能なマルチコプターの実

現を目標としています。

■ ビジネス展開

従来の空撮は、有人のセスナ機やヘリコプターによる

ものが大半でした。高コスト・自前撮影ができない・い つでもどこでも撮影できない…が欠点です。有人機は航

空法の規制を受けるため、高度やエリアも制限されます。

マルチコプターはこれらの制約が少ないのも特長です。

もっとも多い販売先は、報道・テレビ・映像制作の関

連業者です。自治体からは「被災場所の空撮」、警察や消 防からは「空からの犯人追跡」や「消火活動の状況確認」

などのニーズが寄せられ、一部は導入済みです。電力・

通信の鉄塔保守、大規模工場のメンテナンス、ダムやビ

ル建設など、ユニークな用途も増えています。高トルク

ローターの導入で数 10kg の機材搭載も可能なため、遠隔

地への機材輸送や各種薬剤の散布などのニーズもありま す。海洋や農業の研究、放射能の除染関連…など、大学

や研究機関への納品も少なくありません。筐体、ロータ

ーやプロペラ、機材用ジンバル、バッテリー、無線装置

など、ニーズに応じて最適な設計を行っています。

■ 今後の取組み

多様化するニーズに応えるため、機能や性能の向上を

目指しています。通信システムの性能アップ、機体の主

要材料である CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の効率

的加工、高効率・軽量モータの開発、ローター回転機構

の高性能化など、技術開発の要素は多岐にわたります。

いずれも当センターの各担当がフォロー可能な技術課題

です。研究員による日常的な技術指導とともに、重要な 課題については共同研究を実施し、より良い製品開発と

事業展開に結びつくよう支援を続けています。

(機体加工に関する共同開発の様子)

(企画連携担当 幸 嘉平太 [email protected]

成果 紹介

参照

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